止まった時の住人
伸也が言う。


「いや……俺一人で来てくれって言われた。一人で行くわ」


健が言った。


「お前……いけるんか?」


竜二が心配してそう言う。


「いける、いける。ちょっと怖いけど、仕方ないやろ。それに一人で来てって言うてるのにみんなで行って、会ってくれへんかったらあかんしな」


健は竜二にそう言うと、とりあえず一度解散した。


竜二は伸也の家で待機する、と言って伸也の家に行った。







22時50分。


「やっとか……」


健はT駅に着いた。これほど時間が過ぎるのが長く感じたことはなかった。


犯人に会う緊張や不安と、有力な情報が得られるかもしれないという期待で、少し混乱していた。


店に着くと、店の前に男が立っていた。おそらく、あれだろう……


「あの……」
< 125 / 208 >

この作品をシェア

pagetop