止まった時の住人
「おぅ、持ってるよ。お前を殺す」


「健……お前みたいな奴が人殺す度胸があるんか?だいたい時計を持ってても俺には勝たれへんぞ。知ってるやろ?俺は武道有段者や。かなうと思うか?」


竜二は鼻で笑った。


「そんなことわかってる。行くぞ」


健は必死に涙をこらえた。


誰よりも信じていた親友に向かっていく悲しさ、その親友に裏切られた悔しさで、何がなんだかわからなくなっていた。


「うわぁぁぁぁ!」


健は竜二に向かって行って、横顔めがけて拳を振った。


しかし竜二はひらりと避けて、健の拳を持つと腕をひねった。ボキ!という不気味な音がなった。


「うっ!」


腕に激痛が走り、健はその場に倒れこんだ。腕を折られた。


「健。どーした。終わりか?」


健は泣きながら、再び竜二に体当たりで向かって行った。


しかしやっぱり避けられ、足を蹴られた。ボキボキ!と、再び不気味な音が響いた。
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