止まった時の住人
雪江の声で健が目をやると、交差点の端の方に、フロントガラスに拳程度の丸い穴が二つ空いた車が止まっている。


「え?!あれってまさか……」


健は慌ててタクシーから降り、車に向かった。


フロントガラス越しに中を覗いてみると、中には男女が胸に穴を開けて死んでいる。


車内にはおびただしい量の血液がたまり、窓やシート、ハンドルに血が飛び散っていた。


「うわぁぁ!」


健は死体を生で見て驚いたのだが、もっと驚いたことに、その死体は紛れもなく弘満だった。


「どうしたの?!」


雪江も車を降り、健の元に来た。


「……この死体が、弘満です……」


健は死体の弘満を指差した。


「弘満は12月31日の23時59分、彼女とドライブ中に交通事故にあったらしいんです……」


「そうなの……お気の毒に……」


「でも、なんでここに弘満の死体が……」
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