止まった時の住人
「もしかしたらこの状況、時間がループする直前のときじゃないの?」


「多分……そうみたいですね……あれ?」


「どうしたの?」


「あれ?おかしい……」


弘満に撥ねられたはずの、伸也の死体がない……


「伸也はこのとき、弘満に撥ねられたはずなんですけど……死体がない……」


車のボンネットには、確かに何かに当たった後が残っていた。


「どういうことやろ……」


「わからないけど、とりあえずここはループする前の31日の23時59分みたいね。今はそれしかわからない。とにかくバーに向かってみましょう」


健と雪江は、そのままバーに向かった。


健はバーに着くまで何度も弘満が乗っている車を振り返った。


バーに着くと今までにない寒気がした。


「この中に……何かあるんですかね?」


「わからないけど……入ってみましょう」
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