止まった時の住人
「健君、その時計とこのドア、反発し合ってるみたいよ……」


雪江の言葉で、健は光る女神の時計をドアに近づけてみた。


バリバリバリバリ!


辺り一面にものすごい音が鳴り響いた。


近くの建物は全て震えていた。


あまりの大音量に雪江は「きゃあ!」と声を上げ、目をつむってしゃがんでいる。


健も驚いたが、女神の時計をじっと見続けた。


光の壁のようなものがドンドン時計に吸い取られていく。


光の壁を全て吸い取ると、時計はカチャンという音をたてて地面に 落ちた。


拾い上げて見てみると12の文字盤の上にヒビが入っていた。


「あ、ヒビが……」


あれだけ何をしても傷の一つもつかなかったのに……と思いながら健は時計をポケットになおした。


そして、再びバーのドアを押してみた。


「あ、触れますよ!」


健は雪江にそう言うと、深呼吸をしてドアを開けた。


その瞬間、強い光に包まれて辺りが真っ白になった。
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