止まった時の住人
伸也は銃口を健からそらし、テーブルのイスに腰をかけた。


「僕の計画は順調やった。弘満はずっと時間が戻る苦しみを味わう。僕はそれを見て楽しむ。でも弘満が健の家に時計を落とした時から、計画が狂い始めた。お前がループに気づいて弘満と協力してしまったからな。それで弘満は開き直って、彼女のことを忘れてこの世界で一番の存在になろうとした。これはまずい。だって そんなん見ててもおもろくないやろ?そこで、ちょうどお前が登場。弘満はお前との勝負に負けて、自滅した。結局は……計画通りや」


伸也はイスから立ち上がった。


「……これが、僕がループの地獄を作った理由や。もう弘満が死んだなら、時間をループさせる意味なんかない。もうそろそろ時間を進める。……でも、その前にやることがある」


伸也は再び強く、健に銃口を向けた。


「ループに気づいた奴を全員殺さなあかん。そうせな、時間は進まへん」
< 189 / 208 >

この作品をシェア

pagetop