止まった時の住人
健はメンバーが練習している、Aの練習スタジオの茶色ドアを恐る恐る開けた。その瞬間、メンバーの演奏が止まった。ドアを開ける健に気づいたようだ。


「お、やっと来たんか!」


笑いながらギターボーカルの武が言う。


「おいお前遅いやんけ、裸になってブリッジしろ!」


意味のわからないことを言う伸也。


「まぁまぁ。ええやんけ、たまには。ほな、やろうぜ!」


と、武の声で健がドラムの用意をする。武はおっとりしていて、天然で、テンションが高くて、器が大きい人柄だ。


「ホンマにすまんな!」


健が頭を下げて謝る。


「ええよ、ええよ、そのかわり裸になってブリッジや」


またもや意味がわからないことを言う伸也。


「何やねん、裸になってブリッジて…」
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