止まった時の住人
「……え?」


雪江は思わず声を漏らした。伸也が、突然消えたのだ……


「え?どうなってるの?!」


「雪江さん!胸元が!」


「え?」


雪江の胸元は、血で真っ赤に染まっていた。


雪江はその場に倒れこんだ。


「なんや?!どうなってるんや?!」


健は立ち上がり、キョロキョロと辺りを見渡した。


「遅い……お前らの動きなんか、止まって見える……」


気づくと伸也は、健の後ろにいた。


「伸也……」


健は後ろを振り向くと、伸也は再び健の額に銃口を突きつけた。


「僕は……この止まった時の世界で、時間より早く動けるんや。僕に勝てると思うか?」


「伸也……お前……」


健は涙を流し続けた。


「ずっと一緒やったやんけ!ずっと騙してたんか!」
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