止まった時の住人
「伸也……すまん…」


健の瞳には、再び涙が溢れた。


「健……まだ終わってないぞ……」


なんと伸也は、それだけの衝撃を受けながらも立ち上がった。


「伸也!」


「今度は僕の番やな……」


そう言った瞬間、伸也は消えた。


「……どこや?!」


「……ここや」


伸也はまた、健の後ろにいた。


健は勢いよく後ろを振り向いた。すると伸也の手には、神の時計があった。


健から時計を奪っていたのだ。


「……健、こんなもん使うのは反則や」


そう言うと、伸也は、神の時計をバーの外目掛けて力いっぱい投げた。


時計はバーのガラスを突き破り、アスファルトの上に落ちた。


「これで、僕にも攻撃できるな」


伸也は再び消えた。すると一秒後、健は体中に痛みを感じた。


「うっ!」


健はその場で、水を失った魚のようにバチバチと跳ね、宙に吹き飛んだ。


伸也が何十発も攻撃してきているのだ。健はその攻撃で、立てなくなった。
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