止まった時の住人
「健……終わりか?」


伸也が目の前に現れた。


「くそー!」


健は立ち上がると、伸也に向かってパンチを繰り出した。


しかしその瞬間、またもや消えてしまった。


「ここや」


伸也は健の後ろにいた。


そして、さっきと同じように、健はいつのまにか攻撃を何十発も受けていた。健はその場に倒れこんだ。


「伸……也……」


「健、もう立たれへみたいやな……」


そう言うと、伸也は懐から拳銃を取り出した。


「健、今度こそサヨナラや……。苦しまんように、一発で殺したる」


「待って!」


背後からの声に、伸也は振り返った。


そこには雪江が立っていた。


「伸也君、私を倒してみなさい!」


「いい度胸や」


伸也は雪江の方向を見ると、再び消えた。


「雪江……さん……逃げてください……」
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