止まった時の住人
15時。


練習が終わって、スタジオのロビーでミーティング。健のメンバーは、ギターボーカルの武、ベースの伸也、そしてドラムの健という3人のバンド、いわゆるスリーピースバンドだ。パンクロックを中心に音楽活動をしている。バンド名は『パンクパンサー』。伸也が適当につけたバンド名だ。


「あ、そうや健、曲出来たけ?」


武の言葉に、健が返す。


「すまん、まだやねん。もうちょっと待ってくれへん?」


「あ、そう言えば、前のバラードは?」


伸也が聞く。


「あのバラードは頑張ったんやけど、やっぱあかんわ」


ため息をついて、健が答えた。


「何で?俺はええと思うで?」


今度は武が健に問いかける。


「いや、やっぱサビが今いちなんや」


「そうけ?」


「まぁまた作っとくわ」


「おっしゃ、ほな帰ろか!」


ミーティングが終わると、スタジオで解散した。健はママチャリに跨って、家に向かった。
< 20 / 208 >

この作品をシェア

pagetop