止まった時の住人
「横の部屋で寝てるわ。ご飯食べたら顔出してあげりや」


「うん、もちろん!っちゅーか最近動物逃げ過ぎやなぁ。昨日も今日もニュースでやってたで」


「ふーん。あんた、動物に襲われんように気ぃつけや」


「いや……さすがにこの辺には逃げて来てないと思うで」


10分ちょっとでご飯をかきこんだ健は、すぐおばあちゃんの部屋に行った。


「おばあちゃん、おかえり!」


扉を開けると、健は笑顔でおばあちゃんの俊子に話し掛けた。


「お、隆史かい??会いたかったよー」


「隆史やなくて、健やで!」


毎度のことだが、久しぶりに会うと俊子はいつも健のことをなぜか隆史と呼ぶ。


健はおばあちゃん子で、小さい頃、杉男と智子が仕事でいないときは、ずっと俊子に世話をしてもらっていた。


「もう体調は、いけるん?」


健は満面の笑顔で聞く。退院が相当嬉しい。


「うん、いけるよ。おおきに」


「よかった!」
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