止まった時の住人
健は竜二の家に入ると、いつものように階段を上がり、竜二の部屋のドアを開けた。竜二は、布団の上にあぐらをかいて座っていた。健は竜二のすぐ正面のカーペットに座った。


「ほんで、いきなりどうしたんや?」


健が聞いた。


「健!曲はどうや!」


電話とは打って変わって、今度はハイテンションだ。


「何やねん……何か、さっきのお前変やったぞ」


「え?電話のことか?変ちゃうて!俺いつもこんなんやん?」


「そうかなぁ……」


「とりあえずポテチでも食うてや!あ、聞いて?昨日のことやねんけどさぁ……」


他愛も無い会話をした。最近のバンドのこと、昨日練習に遅れたこと……気がつくと、時計の針は10時を回っていた。


「あ、もうこんな時間や!早いなぁ」


「こんな時間や言うても、まだ朝やで?……竜二、やっぱ朝の電話、どうしても気になるわ。教えてくれへんか?」


「え?普通やったやんけ!」


「違う」
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