止まった時の住人
「……え?」


健は竜二の瞳を見つめた。


「言え」


健の瞳に耐え切れず、竜二は健から目を反らし、一呼吸置いて言った。


「……やっぱお前には敵わんなぁ…実は、変な夢見てもうて、やけに怖くなって…」


「どんな夢や?」


「女の子でハーレムの夢」


「………」


「………」


「帰るわ」


「あぁぁ!わかった!わかった!言うから!」


慌てて健の腕を掴んで引き止める竜二。


「なんか……、毎日同じことを繰り返してる夢……」


竜二は緩んでいた顔をキュッと締めて言った。 


「え?普通に当たり前やんけ!冬休みやねんから、毎日起きて飯食うてテレビ見て…」


「ちゃう、ちゃう!そういう意味やない。なんか…繰り返し……」


「…え?どういう意味や?」


「繰り返されとんねん。何回も、何回も同じ時間が…」
< 29 / 208 >

この作品をシェア

pagetop