止まった時の住人
白い建物に、「NCM」と書かれた、派手な大きい看板がある。ライブハウスの名前だ。


ステッカーやポスターを不規則に貼ってある透明ガラスの扉を開けると、赤く分厚い扉と、左側には階段がある。赤い扉はライブハウスの客席、左の階段を登ると楽屋だ。


壁にも、さっきの扉と同様にステッカーやポスターがベタベタ貼られていて、壁際の茶色の棚にはライブイベントのチラシが延々と置いてある。


階段を登ると、正面に白い扉と右に通路があって、通路の右奥がトイレ、左奥にライブハウスの事務所があって、正面の白い扉が楽屋である。


扉を開けると、中には男が3人、イスに腰をかけていた。竜二たちのバンド、『ハイロード』である。


「おぉー健!どないしたんや?」


健に気づいた竜二が立ち上がって、言った。


「おう。暇やから来た」


「お、そうけ!まぁ入れ、入れ!」


竜二がそう言うと、楽屋の中に入って竜二たちの所に行った。


「お、健!久しぶりやなぁ!」


ボーカルの智哉が言う。智哉は竜二と同じくらいテンションが高く、一番背が低く、明るくてちょっといたずらっ子だ。
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