止まった時の住人
読み間違えではなく、確かに新聞には29日の日付けが書かれてある。


「え?何やねんこれ……」


次の瞬間、我に返った。よく考えたら今日は、29日のはずがないのだ。29日は、もう3日も前に終わったのだから……


「何、この手の込んだドッキリ?むかつく親やなぁ……」


騙されたことに怒りを感じた健は、智子のところへ駆けて行こうとした。そのときだった。


カチャン!


「ん?」


携帯電話を地面に落としてしまった。


「あぁぁ、壊れてへんかな……」


携帯電話を拾い上げ、画面を見たとき、そこに映る表示に心臓がドクンと大きな音を立てた。





12月、29日。9時、15分。


「えっ……何これ……どうなってんねん……何やねんこれ……」
< 40 / 208 >

この作品をシェア

pagetop