止まった時の住人
「お、おぉ!」


つい苦笑いを浮かべてしまう。


竜二が曲を発表していても、うわの空だった。


「……おい、健?曲、聴いてた?」


「え?お、おぉ!」


「…お前、何か変やぞ?どないしたんや?」


健の様子がおかしいことに気づいてそう聞く竜二。


「え?何もないって!」


慌てて作り笑いで答えた。


「いや、ある。何年お前と一緒におると思とんねん。言え」


「……」


「健!」


竜二のその言葉に、健は俯いた。そして、ゆっくりと口を開いた。


「……わかった。でも、信じられへんと思う」


「お?とりあえず話せ。信じる、信じへんは俺が審査したる!」


「俺な、その曲……聞いたことある」


「え?何でや?何かの曲に似てるんか?この曲は俺が作ったんやで?できたてホヤホヤや」


「いや、その曲。全く同じ曲を前に聞いた」
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