止まった時の住人
「え?全然意味わからん」


「つまり、時間が戻ってるってことや。31日まで過ごしてたはずやのに、この29日に」


「は?夢やないんか?」


「夢やったらええけどなぁ…今のとこ、どうも現実らしいねん」


「え?そんなことが現実に起こるわけないやろ?夢やって!夢、夢!」


健の肩を再びポンポンと叩く。


「やっぱそうかなぁ……俺もそう思いたいわ……まぁ、そろそろ帰るわ」


「おぅ!まぁ気にすんなや、そんなこと!」


「おう。いきなりすまんな」


健はそう言って立ち上がり、部屋のドアを開けようとすると、健の背中に竜二の声がした。


「健……。どうも、お前が冗談言うてるとは思われへんなぁ。でもお前の言うことは信じたいけど、さすがにいきなりそんな非現実的なこと言われても信じられへん……。もしお前の言ってることがホンマやったら、この先起こる出来事を予想してみろや。それが出来たら、信じたる」


「……おぅ、ありがとう」
< 47 / 208 >

この作品をシェア

pagetop