止まった時の住人
「あ!」


そう言えば、時間が戻る前の昨日は、伸也と遊んでいた。


「すまん、すまん。めっちゃ眠くて。焼肉はおごらんけど」


「あ、そう言えばお前、変な夢見てるらしいな。武から聞いたで」


ニヤニヤしながら伸也が言う。


「あ、すまん!お前、伸也にも相談したと思てて、言っちゃってん」


武が両手を合わせて謝る。


「うるさいなぁ伸也。あ、曲出来たねん。武、伸也、簡単にコード覚えてや」


健は気にしていないように強がってみたが、バンドの練習中もずっと時間が戻ったことが頭から離れなかった。


そして、あっという間に練習が終わって、いつものように三人でミーティングをした。


「健、今日の曲良かったで!」


武が言う。


「お、そりゃよかった。でも俺的にはもう一声欲しいとこやなぁ…」


健がため息をつきながら言う。


「え、充分やないか?」
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