止まった時の住人
「おう。俺も同じこと考えた」


「多分、この時間の繰り返しは、きっとまたなる。お前もそんな気ぃするやろ?」


「そーやなぁ…」


「健。僕は出来るだけ協力する。もし、これから何回もこの時間の繰り返しがあるんなら、僕は記憶があるんか、ないんかわからん。もし僕に記憶がなかったら、何度も何度も、今日みたいに説得してくれ。僕はお前の力になる」


「伸也……こんな非現実的な話やのに、お前がそこまで信じてくれると思わんかった」


「……目ぇや。昔からお前とおったらわかる。お前がそんな目ぇしてるとき、嘘なんか一つもなかった。やから、僕が迷ったときは昔からお前の目を見てきた。その度、信じてた。やから、今回も信じたる。ちょっとも疑ってない」


「何や、急にクサイこと言い出して」


「うるさい、真剣に言うとんねん」


「伸也……ありがとう」


「とにかく、解決する方法を見つけよう。今回は、これから時間がまた戻るか、そのまま進んでくれるか、わからん。僕は……お前もやと思うけど、ホンマにまた時間は戻るような気がしてしゃーない。また時間が戻ったときのために、絶対信用できる奴をあと何人か説得しよう。二人で考えるより、一人でも多い方が解決策は見つかりやすいやろ」
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