止まった時の住人
「やろ?せやからさ、この曲のサビの歌詞書いてくれへん?」


竜二が身を乗り出して聞いてくる。


「は?何で俺が書かなあかんねん」


「頼む!お前しかおらんねん!」


「嫌」


健と竜二はバンドをしているが、2人とも別々のバンドを組んでいる。竜二には竜二のメンバーがいて、健には健のメンバーがいるのだ。パートは2人ともドラムだが、二人ともドラムだけでなくギターも弾ける。曲作りは、基本的にギターでしている。


「くっそー…もう作曲のアイデアあげへんぞ、アホー」


残念そうな声を上げる竜二。健は作詞が得意だが、作曲は竜二の方が優れているのだ。


「……しゃーないな、まぁほんなら暇やったら作っといたるわ」


健はため息をつき、しぶしぶ頷きながら言った。


「ホンマか?!ありがとう!俺、ホンマに健のこと愛してるで!」


「キモイわ、お前」


「ほな、帰れ!」


「は?」


「俺は眠たいんや!寝る!」


「何やそれ……」
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