婚約者代理!?
ただ、立ち尽くすあたしの横に誰かが、立ち止まった。
顔を向けると…
「…………―健太っ…」
「よっ…」
苦笑いが返ってきた。
「この前はごめん…」
あぁ、前の事か…
「別に大丈夫だよ。
あたしもごめんね…」
「いや、奈津は悪くないから…」
そんな事ない…
あたしもいろいろ言っちゃったし
てか!
「なんで、ここに?」
「ん?奈津が来てると思ったから来た」
「すごいね?」
「まぁな」
ニッと笑った健太は、また苦笑いの顔に変わった。
「どうだった…?」
「夢輝?」
「あぁ…」
健太に向けてた顔を、夢輝が消えていった、校舎に向けて…
「王子様だった…」
小声であたしはボソッと呟くと…
「そっか…」
なぜかわからないけど
少し悲しげな、健太の声が隣から聞こえてきた…。