いちごサーガ
いちごを食べる学生でにぎわっていた学食で、変な女に声をかけられた。
もうやばいな…なにがって?こいつのファッションさ。見た目スーツで綺麗系なOLみたいなんだけど、それはそれはロリータな帽子とか鞄とかつけてやがんの。おまけにそれっていちごばっかりプリントされてるんだ。危ない人にしか思えないぜ。
その女をいぶかしげに見ながら、俺はそんなことを考えていた。
「大森大臣」
だれが大臣だ…っていうかお前よくそんなんで大学内にいられるよなぁ。
「あなた何なんですか?」
「手紙を読みましたね?私いちご王国の人事部にいます…いちご王国はとっても広いの!」
やばい、このひと会話のキャッチボールができない人だ。どうしよう、逃げようか。あぶない宗教団体かもしれない。
女を無視して逃げようとしていたら、女は俺の腕をつかんできた。
「何するんです!離してください!」
「いいのいいの、行くよ大臣!れっつご~」
「はぁ?ふざけないで下さい。こっちは授業もあるんだから!っていうか開始時間すぎてるし!」
「何言う?あなた大臣よ。ねぇ、私の国救って。お願いよ。」
「うっ」
女が泣き出したので俺はテンパりはじめた。何せここは人が多い。みんなが俺たちを見ていた。中にはひそひそ何かを語るものも…いっぱいいた!
「だーっ!!」
今度は俺が女を引っ張るようにして、学食の外へとダッシュした。どうでもいいが、この女意外とかわいかったりする?って俺は何を考えてるんだ。
とにかく今は人目につかないところに逃げるんだ。

「はぁはぁ・・・つかれた」
図書館の裏にあるベンチの前までやってきた。ここならめったに学生も通らないから、人目にはつかないだろう。こんな変態いちご女といるのをみられたくはないからな。
さて。
「もう一度聞きますが、あなた誰で、そしてなぜ僕が大臣になんですか?そもそもいちご王国ってなんなんですか?」俺は半キレ気味に女に尋ねた。

ようやく泣き止んだ女は自分の国、つまりいちご王国について語り始めた。
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