いちごサーガ
変なファッションをした女は自分の国について話し始めた。
さっきまで泣いていたとは思えないほどの笑顔で(うそなきか?だったらうざいな)。
「いちご王国は銀河の果てにあります。」
銀河?なめんなよ。こいつはやっぱり頭がおかしいんじゃないだろうか。変な宗教にでもとりつかれてるんじゃないだろうか。
だが俺は好奇心から女が語るのを黙って聞いていた。
「銀河、それは宇宙の中です。あなたがたがいるこことは違う」
女はあまり喋るのが上手くないらしく、ゆっくりと、言葉を選びながら話していた。
「いちご王国がある惑星は銀河の中にあるということです。てへ」
てへじゃない。
「大森さんは、その国の大臣に選ばれた。だから私と一緒に王国まで来てもらいます」
こうなるといてもたってもいられないのだった。そもそもこの女のペースに任せたのが悪かったな。
「なぜ」
「大臣だからです」
「いや、そうじゃない。なぜ僕が大臣に選ばれたんです。そこを説明してください」
「なぜって?あなたは知らないのですか?」
しらねぇよ。。
「あなたは確かいちごが嫌いでしたよね?」
なんでそんなことを知っているんだ。
「だったらなんだって言うんだ。いちご嫌いと大臣に関係あるのか」
「あなたのことは事前に調査済みです。ご安心ください。いちごが嫌いな地球人は、たびたびいちご王国に招かれているのです。あなたが大臣なのはたまたまです。大臣になることはそんなに嫌ですか?」
俺はますます腹が立ってきた。
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