【短編】年下の彼
電車に乗り込んでさっきのことを考えてみる。
ついにデートだぁ。春くんをみながらにやける。
「何ニヤニヤしてんの?キモい。」
ええー?!キモいって…
でもそんな言葉じゃ今はへこみません!
「だって嬉しいんだもん!念願のデートだもん!」
3ヶ月も待ったんだもん、テンションも上がるよね?
「はい、はい〜。駅に一時な。」
若干呆れながら待ち合わせ場所と時間を告げる。
「うん!!」
なんか今のカレカノっぽいよね!彼女になったらこんな感じかな?ふふっ〜。また顔がにやけちゃう……………………って、待って!そうだよ!「彼女」のこと聞かなきゃ!
「ねぇ春くん…彼女いる?」
…………沈黙。
そりゃそうだよね。今の流れ的に。
「何、今更。」
ごもっともです。
「いや〜…彼女いたらデートしちゃ不味いかなって…思い…まして…」
なんか聞くの怖くなってきた。
…………。
「っていうか彼女いるかどうかなんて、お前がよく知ってんじゃね?」
「えつ?私?!」
「そ。毎回俺に告白してきてその返事。」
「今は…恋愛に興味が…ない…ってやつ?」
「そ。わかってんじゃん。そんなに俺の意見は日替わりでかわらねーっつーの。」
そうだよね…。柚の言う通りだ。なんかホッとしたような、悲しいような…。
「実…依ちゃんは…?」
聞かずに居られなかった。
「はっ?相澤?」
「今日朝いつもの待ち伏せ場所で会っちゃって…ね、昨日から春は私のだから…って…。」
思い出して悲しくなる。
「っていうか、わけわかんねー。俺あいつのモノになった覚えねーし。昨日告られたけど振ったし。朝もいたけど無視して一人で行ったし。」
そこまできいてようやく安心した…。勘違いでよかった〜。