【短編】年下の彼
見たかった映画…
実は…ベタな切ないラブロマンス。主人公とその彼氏が遠距離になって、誤解や嫉妬やライバルが現れて、別れたりくっついりしながら最後はどーなるの。っていうような……。
私はドキドキしながら見るんだけど、春くんは絶対に見ないような映画………。
「っげ。……これ見んの?」
あ、やっぱり?
明らかに嫌そうな顔。
でも気にしないもん!
「うん!だって付き合ってくれるんだよね?」
「………。」
肯定とみます。
「行こう?始まっちゃうから」
半ば無理やり春くんの腕を掴むと笑顔で引っ張って行った。
「ん〜〜〜ドキドキしたねっ?最後はもうだめかと思っちゃったけど、ハッピーエンドでよかった〜〜。」
満足に話す私とは違って、体全体から明らかに私とは正反対のオーラを放つ彼。
なんだか申し訳なくなって一応顔色を伺う。
「な、なんか、ごめんね?」
ちらっと視線を私に向けると
「お前さ〜あんなベタな映画、よく真剣に見れんな…。俺もうむり…。」
…はは。まぁひとまず私は満喫できたからいっか〜。
なんだか微妙な雰囲気を変えたくて話題を変えた。
「春くんまだ時間…大丈夫?よかったら、何か…食べてかない…?」
一応“映画に付き合ってやる”って言われてたから、この先が不安になって控えめに尋ねてみた。
「あ?あぁ〜そーいや腹減ったかも。」
よかった。
「あっ軽食?近くにホットサンドの美味しいカフェがあるんだ〜!そこいかない??」
いつも柚と行くんだよね。中身が色々あって飽きないし、ちょーおいしいの!
「ああ。じゃそこ行く。」
わーい、本当のデートみたい!!