恋love



「いやぁーね、
友達がくじ引きで1等の温泉旅行当てたらしいんだけど、いけなくなってね。
それで“高橋さん行ってください”なんて言われちゃったもんだから、断るのもあれだしお父さんと相談して行くことにしたの」



と、嬉しそうに言ってる。
まあ、嬉しいんだろうけどね。



だからあたしも反抗できなかった。


「いいよいいよ、いってらっしゃい。

でも本当に2人仲いいよね。
あたしも結婚したらそんな夫婦になりたいなあ」



とまあ、そんなこと言ってみたけど、
結婚できなきゃ意味ないよね。



「ふふふっ、大丈夫よ。
あたし達の子供だもの。

それに………」



お母さんがニヤニヤしてあたしを見てる。

何を言う気だこの人は。



「それに、拓冶君だったら大丈夫よ」



「はあ!?」


なんで拓冶が出てくんのよ。
しかも何その自信。


「あの子ね、お父さんの若い頃に雰囲気がそっくりなのよ。
まあ、顔は拓冶君のがかっこいいんだけどね」



またまたベタな話だ。
高橋家はベタが好きなのか?


でも言われてみればお父さんと拓冶って…




ってなるかー!!!


お母さんは猫かぶってる拓冶しか知らないからそんなこと言えるんだ。

あんな奴、あたしと2人のときなんて意地悪だし、口悪いし……

お父さんとは全然違うよ!



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