たった一言が言えなくて
私は華乃の口から手を退けると視線を華乃にむける。
華乃は息を整えながら私をジト目で見てきた。おおう、やる気か?
「はあ……あんたはいつまでそうしてる気なんですかぁ?」
「キャッ☆そんな目で見つめられたら照れちゃう」
「その顔、二度と俗世に晒せねぇようにしてやろうかぁ?」
「いや、す、すすすみません!本当にすみません調子にのりましたぁぁぁぁあ」
そう懺悔ポーズに入る私に溜め息を漏らす華乃。
そりゃ私だって、ちゃんとこの気持ちを伝えたいってのはあるさ。
ええ、ありますともさ……でも、でもさ。
「そんなんじゃ、何処かの見知らぬ女にとられるわよ?佳君、結構女子に人気あるし」
華乃の言葉はごもっともだと思う。
現にアイツは馬鹿だけど良い奴だし、高校生になってから女子特有の恋ばなってやつに出てきたのを小耳に挟んだ事すらあるんだ。
だけども……。