たった一言が言えなくて

放課後の罠

　　＊　＊　＊



気付けば時刻は放課後。






何だかんだ日直だった私は担任に頼まれた資料の束を教室に運んでいた。

つか、さっき担任の授業だったんだから持ってきてくれれば良かったじゃないか、全く。




まぁ日直何て、先生の下僕兼雑用係みたいなもんじゃないか、だからこれはこれで仕方がない。



例え相方がいつの間にか姿を眩ましていたとしても。




「……くっそぉ、私だって逃げたかったぞチキショー」




そうこう考えている内に目的地の我が教室に着いた。



私はドアを肘で器用にちょこっと開けるとできた隙間に足を入れて勢い良く蹴る。
そうすればガラガラッと音を響かせドアは開いていく。



反対側の壁に勢い良くぶつかったせいかその反動で少しドアがこっちに戻ってきたがスルー。