天使への判決
プロローグ
雪のように透き通る肌と、見事に均整のとれたプロポーション。
茶色がかったサラサラのロングヘアー、そして大きな瞳と筋の通った鼻。
無機質な作りの法廷の中で
里沙の美貌はひと際浮いていた。
(禁固するには惜しい女だ…)
正面に立つ里沙の、真っ直ぐな瞳に思わず心を奪われそうになる。
裁判長は、里沙の眼差しから目をそらして、ゆっくりと口を開いた。
「被告、松山里沙を
懲役20年に処する」
えっ・・?
その声を聞きながら、里沙は被告人席で立ち尽くした。
あの裁判長は何を言っているのだろう…
一瞬、目の前が真っ白になった。
立っていることがやっとだった。