天使への判決
俺はヨウスケを競馬場に残し、待合いのタクシーに乗り込んだ。
その途端、押し寄せてくる疲れ。
今日は人生最悪の日だ…
目をつぶりタクシーの窓に頭をもたれかける。
目を閉じた俺の脳裏に走馬灯のように横切るのは、朝戸の笑顔と楽しかった頃の思い出だった。
朝戸…
俺は取り返しのつかない事をしちまった…
朝戸…
俺は…
どうすればいい…?
朝戸…
「お客さん…大丈夫ですか…?」
いつしか鳴咽交じりに泣いていた俺を見兼ねて、タクシーの運転手が声をかけた。
俺は慌てて涙を拭い、
「何でもない…」
そう言い放って窓の外を眺める。
タクシーは繁華街を抜け、大通りから路地に入った。
久しぶりに目にする、鉄格子を身に纏った、要塞のような建物。
俺は約二ヶ月ぶりに組のビルに訪れた。