天使への判決
俺の首筋を一滴の汗が伝う。
心の中を悟られまいと、俺はその眼光から目を逸らして言った。
「…シュウイチさんに隠すような事は、何もないです」
俺は息を飲み、テーブルの下で拳を握りしめる。
シュウイチさんの視線は、俺の目を突き刺すように注がれたままだ。
お互い何も言葉は交わさず、沈黙の時間が続いた。
シュウイチさんの吸うタバコは次第に短くなり、タバコの先の灰がポタリとテーブルに落ちる。
「…ナオキに会ったか?」
「えっ……?」
俺は驚きのあまり、声を出してしまった。
「お前の顔見てたら分かるわ」
シュウイチさんは足を組み両手を背もたれに掛けると、上を見上げて短くなったタバコを一気にフィルターまで吸いきった。