天使への判決
「そうなんだ…
じゃあ、今は幼稚園に行ってるの?」
「違うよお、保育園だよ」
そんなやり取りをしているうちに、看護師の目には、うっすらと涙が溢れていた。
「おねえちゃん…なぜ泣いているの?」
不思議になった里沙が、看護師の顔を覗き込む。
「ううん…なんでもないよ」
看護師は涙があふれるのを堪えるように、上を見た後、
里沙の目をじっと見つめて手を握った。
「里沙ちゃん…お姉ちゃんの名前はミキって言うの
何かあったらいつでも声をかけてね」
「うん!ミキねえちゃんね!」
里沙の屈託の無い笑顔を見ると、ミキは目頭を押さえながら、走って部屋から飛び出した。
(変なの…)