天使への判決
「リサ、待ったか?」
「ううん…さっき来たところ」
ニコッと微笑むリサの笑顔を確認した後、俺は彼女の横の椅子に座り、上着を背もたれに掛ける。
「すごい汗…」
リサは傍に置いてあった雑誌を手に取ると、それを俺の顔に向けて上下に大きく降った。
柔らかい風と一緒に、リサの甘く優しい香りが俺の顔を撫でて通り過ぎる。
「ああ、今日は何だか得に暑いな」
「うん。
…あ、何か食べようよ。
私、おなか空いて死にそう!」
そう言って、リサは雑誌を横の椅子に置くと、テーブルに置いてあったブック型のメニューを取り、俺の前に開いた。
「えっと…私はねぇ〜
このパスタがいい」
メニューを覗き込むリサの顔が近い。
長い髪の毛が俺の手の甲に軽く触れる。
そんなに近づかれたらヤべえって…
俺はリサの柔らかい香りにドキドキしながら、メニューを追った。
久しぶりに来たこの店。
本当は食べた事のないメニューを注文したかったのだが、リサの香りに俺の思考回路はストップする。
「マスター、俺はランチにしてくれ」
いつもとは違う俺の様子を見たマスターが、その理由を察知したかのようにニコッと笑った。