天使への判決
「畏まってなくて、いいお店でしょ?」
俺は曖昧に相槌を打った。
「ここに来ると、なんだか懐かしい感じがするし、緊張しなくて済むの。
」
店に入ってからずっと、俺の心はリサに奪われたままだ。
俺はこんなにも格好悪い自分の心情を、リサに気付かれないように注意しながら、皿の上の料理をがむしゃらに平らげた。
そんな俺の様子を見ながらリサは、くすっと笑った。
「なんだよ…」
「いや、美味しそうに食べるなあと思って」
「そうか?」
「うん。
私ね、男の人が美味しそうにご飯を食べる姿が好きなの」
リサは遠くを眺めるようにして言った。
「微かに残っている父の記憶は、母が作った料理を美味しそうに食べてる姿。
私のおかずまで食べちゃって、母に怒られてた父が好きだった」
「両親が死んだ後、親戚に引き取られてから、ご飯はずっと一人、部屋で食べてたの…」