天使への判決
「俺って、お袋に似て、何でものめり込んでしまうタイプだし…一度やるって決めたら後には引かないからな…
一生この業界で生きるんだろうな」
「でも、そんな生き方って格好いいよ」
リサは長い髪を掻き上げて微笑んだ。
「私は逆。
何でも中途半端で長続きしないの。
ひとつの事に留まる事が嫌い。
だって、人間いつ死ぬかわかんないんだもの。
だから嫌になったら何でもすぐに辞めちゃう。
少しはケンジを見習いたいもんね」
そう言ってリサはペロッと舌を出した。
「あ〜あ。ミキ姉ちゃんのせいでこんな事まで話す羽目になっちゃった。
看護士って言うのはどうもお節介やおしゃべりが多いみたいね」
俺の中では、悲しい過去を乗り越えようとするために、常に人生を破天荒に振る舞う。
そんなリサのイメージが出来上がりつつあった。
「そうやって、男も飽きたら捨てるんだな」
俺が冗談混じりに笑いながら言うと、慌てふためきながら、
「そ、そんな事ないよ!
私は意外と好きになったら一途なの。
周りからは最高に尽くす女だって…」
そう言って食後のアイスコーヒーを飲み干す。
意外と隙があるんだな…
俺はリサの慌てた様子を見ながら笑った。