天使への判決
ケンジは満足そうに微笑むと、そのまま私をシャワールームへ連れて行った。
男というのは至って単純な生き物だ。
女の複雑な感情に動揺し、次第に「何故怒っているのだろう」と気になってしょうがなくなってくる。
そして、そんな時優しさを見せると自分の事が好きなのでは?と勘違いする。
酷くなると、目を見て微笑むだけで勘違いする男もいる。
さらには自信を持っていると思われる部分を褒めると喜ぶ。
あとは、女らしさと上目使いーー。そして甘えた声。
これで完璧。
身体を許すと自分のものだと調子づく男も多い。
だから私は明日から一週間、連絡が途絶える。
「ねえ、ケンジ、
キスして」
私はシャワーを浴びるケンジの後ろから、傷だらけの身体をそっと抱き寄せた。
ケンジはもう私から離れる事はできないの。
そう。
私のために…
たくさんお金を使って。
私のために…
たくさん精力を使って。
「ねえ、ケンジ、
いっぱい、いっぱい愛してね」