天使への判決
「うん。そうだね。引いたり押したりだよね。
こっちから電話するのは一時辞めておくわ」
私は次第にイライラしてきた。
「違うの!向こうからかかってくる電話も着信拒否しなきゃ意味がないの!
こっちが電話しなくて向こうからかかってくるのは喜んでたら、男の思うままじゃない!」
気がつくとあまりにも声が大きくなってしまい、奥で飲んでいたカップルがしかめっ面でこっちを見ている。
「とにかく…
付き合い出した頃が肝心。
一週間は時間を置いた方がいいわ。
いきなり音信不通になったら向こうは心配するでしょ?
そういう心の不安を定期的に与えるの。
私はあなただけじゃない…ってね。
気にも留めないようなら、そこまでの男だって事」
あの日以来、私の携帯には何度となくケンジから着信があっていたが、私はその電話に一切出なかった。