天使への判決
パパ…
ママ……
里沙の胸に次第に寂しさが込み上げてくる。
「早く帰ってきてよぉぉ」
そう呟いた時、部屋の入口のドアがゆっくりと開いた。
パパとママが帰って来たー。
窓に向けていた顔を慌てて扉の方に向ける。
しかし、そこに立っていたのは、里沙の両親ではなく、うっすらと髭を生やした伯父の姿だった。
里沙の目に映る久しぶりに見た伯父の顔は、以前見た事のある伯父の顔とは明らかに違っていた。目の周りは赤く貼れ、顔色は真っ白だった。
どこを見ているのか、視線は定まっていない。
「おじちゃん…?」
フラフラと里沙の方に向かって歩いてくる伯父の後ろには、見慣れないスーツの男と、制服を着た警察官がいた。
里沙の伯父は、里沙のベッドの横にしゃがみ込むと、
手を握りゆっくりと口を開けた。
聞き取り辛いかすれた声で…
「・・・・行ったよ」
「おじちゃん・・・なに?」
「パパと・・ママは・・・天国に行ったよ」