天使への判決
「そう言ってくれると救われるよ」
永瀬専務は人一倍プライドが高く、クライアントの言う事を聞かない事も業界では有名だ。
プロデュースにこだわればこだわる程、彼は主張を強く相手に押し付ける。
皆はそんな永瀬専務の事をカリスマのように称えるが、私から言わせたら、ただのわがままだ。
おそらく今回の件も、専務のわがままが原因に違いない…
私はそう感じていた。
ピュアリスの広報活動は、全て一任されるのが当たり前のようになっていただけに、今回の事は専務のプライドを大きく傷つけているのだろう。
さっきから、グラスの氷を揺すっては大きなため息をついている。
「…どうした?」
専務は自分の仕草を見つめる私に気がつき、顔を上げた。