天使への判決

ついさっきまで、新しい彼氏の話をしていたくせにこれだから…

ユウコは昔っから、男に対して気が多い。

…というより、ガードが薄すぎるんだ。


『どうぞ私を抱いてください』ってオーラを出しながら歩いているようにさえ見える。


少しばかり天然な所が、ユウコのいい所でもあるんだけど…


目がハートマークの彼女を余所に、専務に聞いてみた。

「専務、コンペにはもちろん参加するんですよね?」

今の専務の感じからすると、コンペの話を断るとも言い兼ねない。

今まで会社の経費を散々使ってきたのに、専務のわがままでピュアリスとの関係を断ち切るのは会社にとって、大損害になるだろう。

今のうちに釘を刺しておかないと…


「ああ、もちろんだ…
まあ、松山と佐伯が心配するのは解るが、
ピュアリスの社長は、うちの会社がディレクションしないと困るだろうよ

談合でも根回しでもないが、コンペはうちが勝つようになっているんだ」


専務はそう言って、グラスのブランデーを飲み干した。




この時、専務が言った言葉の本当の意味など、私なんかに理解できるはずもなく、私は専務の言葉にただホッと胸を撫で下ろす事しか出来なかったんだ…


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