天使への判決
4.甘い男
ーー10月2日ーー
焼けるような日差しが、容赦なく肌に照りつける。
10月とはいえ、さすがに南国の太陽は私の白い肌には向いていないようだ。
初回のプレゼン会議から一週間後ーー。
私は沖縄にいた。
なぜ自分がこんなところで、スチール撮影のモデルをしているのかが理解できなかった。
ピュアリスの広告のサンプルモデルなど、安請け合いで引き受けるんじゃなかった…
専務から自分の秘書になれと言われた翌日、秘書の仕事を断ろうとする私に専務は言った。
「バカ、秘書なんて言うのは単なる肩書きだけだ。
俺は自分の事は自分でするし、いつも誰かが一緒にいると考えただけで息が詰まりそうだよ」
「じゃあ、昨日”秘書になれ”って言ったのは何だったんですか?」
「あれは有田を納得させるための単なる名目上のものだよ
俺が言う”秘書”って言うのはピュアリス対策の広告塔みたいなもんだ」
ピュアリス対策……?
広告塔……?
専務の言葉が理解できずに首を傾げる私に、専務はこう付け加えた。
「まあ、簡単に言うとピュアリスのコンペで勝つために、松山の美貌が必要だってことだ」