天使への判決
「軽い熱中症だってさ…」
えっ……?
あっ、そうか…
私、バスから降りようとして倒れたんだ…
「驚いたよ。なかなか着替えから戻って来ないから、椎名さんが見に行ってさ」
「じゃあ、ここは病院…?」
「ああ、慌ててすぐ近くの病院に担ぎ込んだんだ」
私ってば…
かなり最低……
「撮影は中止したんですよね」
「ああ。
でも、少し多めに日程押さえておいて良かったよ」
専務はベッドの脇にある丸椅子に腰を下ろした。
「そうそう、これ…」
専務はゴソゴソとスーパーの袋の中を探り、奇妙な棒のようなものを取り出すと、
「ジャーン!!」
そう言って、無邪気な笑顔を見せながら、その棒を私の前に差し出した。