天使への判決

「後になって、こうすれば良かったとか、ああすれば良かったとか、周りはいろいろ言ってたよ
でも爺さんは人のアドバイスを全く聞こうとしなかったんだ
『そういう輩が、俺の土地を狙っているんだ』って言ってね」


そう言って、専務は笑った。



…青い海、照り付ける太陽。

…無邪気に遊ぶ永瀬少年。

…その姿を横目で追いながら、堅物に畑仕事をする頑固なおじいさん。


私は窓の方に視線を移し、星空を眺めながら専務の幼少時代を脳裏に浮かべた。

いや、正確に言うと、専務の視線が私に向けられた時間があまりにも長かったため、目線を逸らしたのだ。

少し開けた窓から入る風に乗って、潮の香りが優しく鼻をかすめる。








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