天使への判決
専務の気持ちには薄々だが、気が付いていた。
だが、会社内で仕事上の一線を越える事が嫌いな私は、社内での恋愛はおろか、ユウコ以外の人間とプライベートで会った事すらない。
ましてや専務との恋愛なんて、面倒で仕方がない。
もしもそんな事が社内で噂にでもなったりしたら、散々嫌がらせを受けた揚句に退社というのが、関の山だ。
「あの……」
「俺さあ!」
私の言葉を遮るように、専務が口を開く。
「週刊誌でいろいろ書かれた事あるだろ?」
「…はい」
「さも、女性関係がお盛んって感じに」
「そうですね」
笑いそうになるのを堪えた。
「実際は女関係なんてほとんどないんだ
毎日、仕事に追われているからね」