天使への判決
「正直、女と会ってどうこうしてる暇があったら、企画書の一本でも仕上げるさ」
専務が普段、何をしてるのかは、よく解らないけど、仕事人間であることは間違いない。
まんざら嘘でもないのだろう。
「でも、どうしてあんな風に、ある事ない事記事にされたのですか?」
「あれは恰好の広告」
「え?」
「出版社の知り合いに頼んで書いてもらっていたんだ
いつぞやの記事には、佐伯にも協力を仰いで、登場してもらったんだよ
後ろ姿だけどね」
ユウコが…?
全然知らなかった。
ユウコからもそんな話、聞いた事もない。
「うちの会社の知名度は、俺が広告搭になることで確実に上がった。
いい意味でも、悪い意味でもね」
専務はそう言って、軽く微笑んだ。
こういう形で知名度を上げるのが、良いのか悪いのかは正直理解し難い。
しかし、自分のプライベートを犠牲にしながら仕事に尽くすそのやり方が、専務らしい。