天使への判決


私は松山里沙。23歳

大学を卒業後、

ここ大手広告代理店で、働いている。


大学時代に仲良しになったユウコと、この広告代理店の面接を受け、驚く程すんなりと二人揃って合格した。

二人ともデザイナーを希望して入社したのだが、そう上手くも行かず、経理事務の仕事をさせられている。


今日の会議で話が上がっているのは、大手化粧品会社「ピュアリス」が来春売り出す新商品の広告コンペの話。



このコンペにディレクターとして抜擢されたのは、高山サオリ。


今年で40歳になる高山は、仕事に生きる女を絵に描いたような人物だ。


仕事に対する思い入れは、男達に引けを取らない。


この歳になって、未だ独身なのも頷ける。



私とユウコは今日、議事を採るため会議に参加した。

私はノートパソコンに向い、只管キーボードを叩いている。

「高山さんの話、よく聞こえないよね…」


隣で同じようにキーボードに向かっているユウコにこっそり話しかけた。









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