天使への判決

…え?


「会議の前あたりから、ちょっと彼女の様子がおかしかったんだよ

なんか、情緒不安定っていうか…

女性特有のものだと思い、俺もそんなに気にしていなかった

彼女は責任感が強いからな…
会社に迷惑がかかると思い、伏せていたんだと思う。」


そうか…

あんな些細な事で、ユウコと口論になったのはその事が原因だ。


「会議が終わった後、松山と入れ代わりで彼女がやってきて、話を聞いたんだ

部屋に入って来るなり、いきなり泣き出してな…

父親が自殺しましたって……」


私は専務の話を頷きながら聞いていた。


「正直ショックが大きかったよ

彼女の父親が自殺した事じゃなく、彼女の精神状態を気にかけてやれなかった自分自身にね……」



「あの…

彼女の…高山さんのお父さんはどうして自殺したのですか?」


高山さんの父親……

私はユウコの言葉を思い返していた。

確か、金属加工の会社かなにかをやっていて、金持ちだとか…




「なんかな…ヤクザから脅されていたらしい」





……ヤクザ


その言葉を聞いて、背筋が凍りつく。


< 202 / 328 >

この作品をシェア

pagetop