天使への判決
「俺もそこまで詳しくは聞けなかったけどな…
どうやら親父さんの会社の裏事情を握られていたらしい」
専務はペットボトルの水を一口飲んで、大きなため息をついた。
「この不景気だ。
最近のヤクザも何をするか解らないからな」
そう言って、立ち上がろうとする専務。
「ちょっと待ってください!」
私は慌てて、押し止めた。
私の予想が外れている事をねがいながら…
「あの…専務は高山さんのお父さんの会社って、知っているのですか?」
「ああ、名前くらいはね…
技術力が高く、金属加工の業界では有名だからな」
「何ていう会社…ですか……?」
お願い…
私は生唾を飲み込んだ。
「久山精機っていう会社だ」