天使への判決
5.天使な女
ケンジは沖縄から帰って来た私を、いつもの何食わぬ顔で出迎えた。
「おう!どうだったよ!?」
「うん、暑くて死にそうだったよ。
っていうか、一度死んだよ」
「はあ?」
私は沖縄での出来事を無我夢中で話した。
熱中症で倒れた事。
星空がとても綺麗だった事。
海が青かった事。
とにかく、ありとあらゆる事を事細かく説明した。
専務に誘われた事と、久山精機の話を除いては…
こうでもして喋ってないと、ケンジの顔をまともに見る事ができない。
ケンジは息をつく暇もないくらい話をする私を見ながら、時折、頷いたり、驚いたり、笑ったりしていた。